Key points
この記事の要点
分別すれば必ず安くなるわけではありません。受入先が品目別の料金を設定し、一定量を確保でき、異物混入を防げる現場では処分費が下がる場合があります。一方、容器、運搬、分別作業、置場、再分別まで含めると高くなることもあります。法令に沿った適正処理を前提に、見積前の確認と現場記録で総費用を比較します。
- 前提排出事業者責任、委託契約、マニフェストなどの適正処理を優先する
- 比較処分単価だけでなく、運搬・容器・作業・置場・再分別を合計する
- 現場受入基準、容器、表示、担当者、回収日を着工前に決めて記録する
分別で下がるのは、受入条件と現場条件が合うとき
分別が費用低減につながりやすいのは、木くず、金属くず、コンクリートがらなどを一定量まとめられ、受入先が混合廃棄物より低い料金で受け入れ、回収回数も増えない場合です。有価物として扱えるかどうかは、物の状態や取引実態を含めた個別判断が必要です。
小規模改修で置場がない、品目ごとの量が少ない、回収車が何度も必要になる、雨や他工種の作業で異物が混ざる現場では、分別作業と運搬の増加が処分費の差を上回ることがあります。
判断は「混合か分別か」の二択ではありません。金属だけ分ける、主要品目だけ専用容器を置く、工程ごとに容器を入れ替えるなど、現場に合う組み合わせを見積もります。
見積前に、廃棄物の種類と受入基準を確認する
建設リサイクル法は、一定規模以上の対象建設工事について、コンクリート、コンクリートと鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートなどの分別解体等と再資源化等を求めています。対象の判断や必要な手続は、工事の種類、規模、場所などを行政窓口へ確認します。
見積前に、工事で出ると予想する品目、量、発生時期を一覧にし、委託先候補へ次を確認します。
- 許可範囲と受け入れられる廃棄物の種類・状態
- 異物、水分、付着物、長さなどの受入基準
- 品目別と混合の処分単価、最低料金、計量方法
- 容器代、運搬費、待機、積替え、返却の条件
- 受入拒否や再分別になった場合の扱い
電話の概算だけで決めず、想定品目、容器、回収条件をそろえた書面見積で比較します。処理委託契約やマニフェストの運用は、価格比較とは別に適法性を確認します。
容器と動線を、着工前の施工計画へ入れる
環境省の通知は、工事ごとの廃棄物処理計画、関係者への周知、分別排出、処理業者との収集方法・容器等の調整、処理状況の記録などを示しています。分別は現場の善意に任せず、施工計画へ組み込みます。
- 発生場所と搬出経路を図面へ記す。
- 品目ごとの容器、容量、表示、ふた・雨養生を決める。
- 投入できる物とできない物を写真や図で掲示する。
- 朝礼で元請、協力会社、回収担当へ説明する。
- 容器を確認する担当者と、満杯前に回収を頼む基準を決める。
容器を増やしすぎると作業場所を圧迫し、積み替えや接触事故の原因にもなります。作業と避難の動線、安全、近隣への影響を優先し、工程に合わせて容器を入れ替える方法も検討します。
排出量と異物混入を、回収ごとに残す
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 発生日・工程 | 解体、基礎、内装など、どの作業から出たか |
| 種類・量 | 廃棄物の種類、重量・容量・容器数と確認方法 |
| 状態 | 異物、水分、付着物、破袋、受入基準との相違 |
| 搬出 | 収集運搬業者、車両、搬出日時、行き先 |
| 処理確認 | マニフェストとの対応、受入結果、差戻し・再分別 |
| 費用 | 処分、運搬、容器、追加作業など工事番号ごとの金額 |
写真は全景、容器表示、投入物が分かるように撮り、回収日と容器番号を付けます。写真だけで適正処理を確認したことにはなりません。委託契約、マニフェスト、計量票、請求書を工事番号と搬出番号でつなぎます。
処分単価ではなく、現場の総費用で比べる
比較する費用は、処分料金だけではありません。次の式を同じ工事、同じ期間で作ります。
廃棄物の総費用 = 処分費 + 収集運搬費 + 容器・保管費 + 分別作業費 + 場内運搬費 + 再分別・差戻し費
分別前の基準値がなければ、最初の1現場では品目別の金額と作業時間を記録します。次の類似現場で、混合中心の見積と主要品目を分ける見積を同じ条件で比較します。
工期や延べ床面積だけで割ると、工事内容の違いが隠れることがあります。解体重量、搬出重量、容器数など、会社で継続して取得できる単位も併記します。見積時の想定量と実績量の差も残すと、次回の積算へ使えます。
週1回10分、容器と回収条件を調整する
現場会議では、容器が早く満杯になる品目、異物混入、回収待ち、差戻し、追加運搬を確認します。原因を作業者の注意不足だけにせず、容器の位置、表示、容量、回収曜日、他工種との共用を見直します。
対策は、容器容量の変更、発生工程に合わせた入替え、納入業者への梱包材引取りの確認、協力会社への再周知などから一つ選びます。引取りや再使用を行う場合も、廃棄物該当性や契約関係を曖昧にしません。
翌週に処分費だけでなく、分別作業時間、回収回数、異物混入も確認します。費用が下がらなくても、適正処理や現場の整理、安全に必要な分別は続ける必要があります。
Before deciding
実行前の注意
- 分別による処分費の低減は、廃棄物の種類・量、地域、受入先、運搬、現場条件で変わり、結果を保証するものではありません。適正処理を費用より優先してください。
- 元請・下請の関係、廃棄物該当性、許可、委託契約、マニフェスト、建設リサイクル法の対象・手続は個別判断が必要です。都道府県・市区町村の担当窓口、処理業者、弁護士等へ確認してください。石綿、PCBなど特別な管理を要する物は別途専門的な確認が必要です。
Checklist
実務で確認すること
- 工事で発生する廃棄物の種類、想定量、発生時期を見積前に一覧化する
- 処理業者の許可範囲、受入基準、単価、運搬・容器条件を書面で確認する
- 対象建設工事と分別解体・再資源化等の手続を行政窓口へ確認する
- 容器、表示、置場、搬出動線、確認担当者を施工計画へ入れる
- 委託契約、マニフェスト、計量票、写真、請求書を搬出単位でつなぐ
- 処分、運搬、容器、分別作業、再分別を含む総費用で比較する
- 異物混入と回収回数を週次で確認し、容器や回収条件を調整する
Primary sources