環境・省エネ

建設会社が最初に把握したい燃料・電気使用量

事務所、車両、建設機械、発電機、現場の仮設電気を対象に、請求書や給油記録から月別の使用量をそろえ、削減策を検討する土台を作ります。

更新日
2026年7月23日
読了目安
約9分
対象
建設会社の経営者、総務・経理担当者、車両・機械管理担当者、工事責任者
建設機械への給油と事業所の電力計を示すイメージ

Key points

この記事の要点

省エネ設備や太陽光発電を検討する前に、どこで何のエネルギーをどれだけ使っているかをそろえます。金額だけでは、単価上昇と使用量増加を区別できません。電気はkWh、ガソリン・軽油はL、ガスはm³など、請求書や給油記録にある使用量と単位を月別に集め、抜けや重複を確認することから始めます。

  • 範囲事務所・倉庫、車両、建設機械、発電機、会社負担の現場電気を分ける
  • 単位料金だけでなく、kWh、L、m³などエネルギーごとの使用量を残す
  • 会議月1回、未入力、急増、理由不明を確認し、担当者と期限を決める

最初に、会社が集める範囲を一行で決める

集計を始める前に、「会社が料金を負担し、請求書・給油記録を確認できるエネルギーを対象とする」のように範囲を決めます。事務所と倉庫の電気、社有車の燃料、保有機械の燃料、現場の仮設電気、発電機などを一覧にします。

協力会社が自ら購入した燃料、元請から支給された電気、リース・レンタル機械の燃料などは、契約や支払方法によって記録の持ち主が変わります。自社の購入記録と現場報告の両方へ同じ給油を入れないよう、集計する側を決めます。

最初から全社を完全にそろえられない場合は、本社、主要倉庫、燃料カードを使う車両など、記録を取得できる範囲から開始します。対象外とした範囲を残し、数値を全社分のように扱わないことが重要です。

請求書と現場記録から、使用量を拾う

対象主な記録残す使用量
事務所・倉庫電気・ガス・灯油の請求書、検針票kWh、m³、Lなど
社有車燃料カード明細、レシート、車両台帳ガソリン・軽油のL
建設機械給油記録、機械日報、燃料納品書軽油などのL
発電機・暖房現場日報、給油票、購入伝票軽油・灯油などのL
現場電気仮設電気の請求書、元請の精算資料kWh。金額しかない場合はその旨を記録

環境省の中小規模事業者向けハンドブックは、請求書や事業所の記録から電気・燃料等の活動量を把握し、排出係数を掛けてCO2排出量を算定する考え方を示しています。最初の台帳では、後から換算できるよう元の使用量と単位を消さずに残します。

月別台帳は、使用場所と証拠資料まで持たせる

過去12か月分を取得できる場合は、季節変動を含む基準として整理します。そろわない場合は、今月から始めて欠けている月を空欄にします。推計値で埋めた場合は実績と区別します。

入力内容
対象月使用月。請求月と違う場合は両方を残す
場所・現場事務所、倉庫、工事番号、車両番号、機械番号
エネルギー電気、ガソリン、軽油、灯油、都市ガス、LPガスなど
使用量・単位数値とkWh、L、m³など。単位を別の列にする
金額税や基本料金を含む範囲を社内で統一する
証拠・担当請求書番号、カード明細、日報、入力者、確認日

電気と軽油を一つの数量へ直接足すことはできません。まずエネルギー別、場所別に使用量を持ち、費用は別列で確認します。

車両・機械・現場の燃料を混ぜない

建設会社では、一枚の燃料カード明細に営業車、ダンプ、建設機械への給油が混ざることがあります。車両番号・機械番号・工事番号のどれに付けるかを給油時に記録します。携行缶や現場タンクから給油する場合は、受入量だけでなく、払い出した先も日報へ残します。

  • 事務所・倉庫は所在地または契約番号でまとめる。
  • 車両は車両番号と走行距離、建設機械は機械番号と稼働時間を併記する。
  • 発電機は現場番号、稼働日、用途を記録する。
  • レンタル機械は、返却時給油と現場での給油を同じ機械番号へ付ける。
  • 複数現場で使った給油は、配分方法を決め、実績か推計かを示す。

走行距離や稼働時間は、使用量の増減理由を確認する補助情報です。燃費だけで作業者や現場を評価すると、渋滞、地形、積載、待機、安全上必要な運転などの条件差を見落とします。

月1回20分、抜けと急増の理由を確認する

経理、車両・機械管理、工事責任者で、締め後に次の順番で確認します。

  1. 前月まで継続していた請求や車両の記録が欠けていないか。
  2. 同じ請求・給油を二重に入力していないか。
  3. 使用量が大きい場所、車両、機械はどこか。
  4. 前月や前年同月から増えた理由を、稼働日、工事量、天候、移動、故障等から確認する。
  5. 理由不明の項目は、確認担当者と期限を決める。

単月の順位だけで削減対象を決めません。現場数や稼働日が増えれば使用量も増えます。可能な範囲で、走行距離、機械稼働時間、工事高、延べ稼働日などを併記し、比較条件の違いを説明できるようにします。

基準値の後は、一つの対策を小さく試す

数か月の記録がそろったら、使用量の大きいエネルギーと、理由を説明できない増加を優先します。アイドリング時間の確認、事務所の設定・消し忘れ点検、機械配置と運搬計画の見直し、点検整備など、投資を伴わない対策から試せます。

対策前後は、同じ車両・場所、似た稼働条件で使用量を比べます。担当者、実施期間、安全・品質・工程への影響も記録し、削減が見られなければ原因を見直します。省エネを理由に必要な換気、照明、空調、機械運転を削り、安全や品質を下げてはいけません。

CO2排出量へ換算する場合は、活動量に排出係数を掛けます。使用する制度・報告年に対応した公的な最新の排出係数を確認し、係数名と年度も保存します。使用量の把握や対策が、費用または排出量の削減を保証するものではありません。

Before deciding

実行前の注意

  • 使用量の把握や改善策は、光熱費・燃料費またはCO2排出量の削減を保証するものではありません。工事量、天候、単価、車両・機械の使い方などの条件を合わせて判断してください。
  • CO2排出量の算定範囲、排出係数、制度上の報告方法は目的と年度で異なります。行政の最新資料や支援機関、エネルギー・環境の専門家へ確認してください。安全、法令、品質、施工条件を省エネより優先します。

Checklist

実務で確認すること

  • 集計対象と対象外を一行で定義し、事務所・車両・機械・現場を一覧化する
  • 電気・燃料の請求書、カード明細、給油記録、機械日報の保管場所を決める
  • 金額だけでなく、kWh、L、m³など使用量と単位を入力する
  • 車両番号、機械番号、工事番号へ給油をひも付ける
  • 実績、推計、欠測を区別し、二重計上を月次で確認する
  • 急増の理由を稼働日、走行距離、機械時間、天候などと照合する
  • 対策は一つずつ試し、安全・品質・工程への影響も記録する

Primary sources

参考にした一次情報