財務・利益管理

重機は購入・リース・レンタルのどれが得か

重機の調達を、月額や購入価格だけでなく、稼働日数、資金負担、維持修理、保管、運搬、故障時の代替まで含めて比較します。

更新日
2026年7月23日
読了目安
約10分
対象
建設会社の経営者、工事責任者、設備・経理担当者
建設機械の購入・リース・レンタル条件を比較するイメージ

Key points

この記事の要点

重機の調達は、購入価格とレンタル日額を比べるだけでは決まりません。自社保有には償却、維持修理、管理などの費用があり、リースには長期の支払約束、レンタルには利用日数と回送費があります。まず必要な機種と能力を決め、同じ使用期間・稼働日数・費用範囲で三案を比べます。

  • 購入は、長期間にわたり高い稼働を見込め、保管・整備・運搬まで自社で管理できる場合に向く
  • リースは、機種を指定して長期使用し、初期の資金流出を平準化したい場合に検討する
  • レンタルは、短期・季節利用、機種変更、故障時の代替、現場ごとの調達を重視する場合に向く

三つの調達方法は、契約の性格が違う

方法主な特徴先に確認する条件
購入自社資産として長く使い、売却時期も自社で決める取得資金、稼働率、整備人員、保管場所、中古売却
リース利用者が選んだ物件をリース会社が取得し、比較的長期に使用する契約が一般的中途解約、総支払額、保守、残価、満了時返却・再リース
レンタルレンタル会社の保有機から選び、必要な期間だけ借りる日額・月額、最低保証、回送、補償、休車、在庫、代替機

「リース」「長期レンタル」などの名称だけで判断できません。中途解約、修理負担、損傷時の負担、返却条件、総支払額を契約書で確認します。

比較するのは、同じ期間の総保有・使用コスト

国土交通省は、建設機械損料を、建設業者が所有する建設機械の償却費、維持修理費、管理費などのライフサイクルコストを1時間または1日当たりで表した経費と説明しています。自社の投資判断でも、同じ考え方で費用範囲をそろえます。

購入に入れる費用リースに入れる費用レンタルに入れる費用
購入代、資金調達費用、税・保険、点検・修理、保管、運搬、管理、売却額控除リース料総額、保守・修理、保険の自己負担、保管、運搬、返却・再リース基本料、日額・月額、補償、回送、燃料、アタッチメント、休車・延長

燃料、オペレーター、日常点検など、どの案でも同じ額になる費用は比較から外せます。ただし、契約に含まれる範囲が違う場合は差額を戻します。故障で現場が止まる損失、代替機の手配、繁忙期に借りられないリスクも金額または条件として残します。

過去12か月の稼働実績から、必要日数を置く

  1. 機種・能力・アタッチメント別に、実際に稼働した日と現場を集計する。
  2. 現場間の回送日、待機日、整備日を分ける。
  3. 今後の受注見込みを、確定、確度高、未確定に分ける。
  4. 楽観・標準・慎重の三つの稼働日数で総コストを計算する。
  5. 故障時、受注減少時、別機種が必要になった時の出口を確認する。

年間の保有日数を稼働日数として扱わないことが重要です。現場に置いていても作業していない日、他工種待ちの日、修理日を分けると、購入後の稼働率を過大に見積もりにくくなります。

5年間の仮定例では、稼働日数で結論が変わる

同じ小型油圧ショベルを5年間使う仮定例です。金額は税抜とし、割引現在価値、消費税、燃料、オペレーター費は簡略化のため含めません。実際には自社の見積書で置き換えます。

  • 購入:購入800万円+資金調達60万円+税・保険50万円+点検修理130万円+保管・運搬80万円-5年後売却200万円=総額920万円
  • リース:月14万5,000円×60か月+点検修理130万円+保管・運搬80万円=総額1,080万円
  • レンタル:1日3万2,000円×稼働日数+回送8万円×20現場
5年間の稼働日数購入の1日当たりリースの1日当たりレンタル総額・1日当たり
250日3万6,800円4万3,200円960万円・3万8,400円
500日1万8,400円2万1,600円1,760万円・3万5,200円

この前提では、レンタル総額が購入総額920万円と同じになるのは、5年間で約238稼働日です。計算は(920万円-回送160万円)÷3万2,000円です。ただし、稼働日数が同じでも、購入機の故障、保管場所、売却額、レンタルの長期割引や休車料が変われば分岐点も変わります。

リースが購入より安いとは限らず、購入より初期の現金流出を抑えられることと、総支払額が小さいことは別です。月額ではなく契約期間全体で比べます。

最安案より、資金と現場を止めない案を選ぶ

購入が総額で安くても、頭金や借入返済により運転資金が不足すれば、材料代や外注費の支払いへ影響します。反対に、レンタルの単価が高くても、受注が減ったときに返却でき、機種を現場ごとに変えられる価値があります。

次の条件が強い場合は、単純な1日当たりコスト以外を重く見ます。

  • 災害対応や緊急工事で、すぐ使える自社機が必要。
  • 特殊仕様やアタッチメントを常時使い、代替機が少ない。
  • 現場の地域が広く、回送費が大きい。
  • 排出ガス、ICT、安全装備など、必要仕様の更新が早い。
  • 自社で整備記録と法定・メーカー点検を管理する人員が不足している。

全台を同じ方法でそろえる必要はありません。高稼働の基幹機は購入または長期調達し、繁忙期の不足分や特殊機はレンタルする組み合わせも比較します。

契約名だけで、経費処理を決めない

ファイナンス・リースは、一般的なレンタルと比べて長期で、中途解約できない契約が多く、修理や保守を利用者が負担する場合があります。満了時の返却、再リース、残価精算も契約ごとに確認します。

法人税上、一定のリース取引は賃借人が資産を取得したものとして扱われ、所有権移転外リース資産にはリース期間定額法などの取扱いがあります。「月々のリース料だから全額を同じ方法で経費処理できる」と一律には判断できません。

購入時の減価償却、固定資産税、補助金・税制措置、リースの会計・税務処理は、取得時期、法人規模、契約内容、適用する会計基準で異なります。契約前に見積書と契約案を税理士・公認会計士、金融機関へ示し、資金繰り表と決算への影響を確認します。

Before deciding

実行前の注意

  • この記事の金額と損益分岐は比較方法を示す仮定例で、特定機種の相場ではありません。
  • 契約条件、会計基準、税務、補助金、減価償却、資金調達の最終判断は、販売・リース・レンタル各社の正式見積と契約書をそろえ、税理士・公認会計士、金融機関等へ確認してください。

Checklist

実務で確認すること

  • 必要な機種、能力、仕様、アタッチメントを先に固定する
  • 過去12か月の稼働日、待機日、整備日、回送回数を集計する
  • 3~5年など同じ比較期間で総支払額を出す
  • 購入は維持修理・保管・管理を加え、予想売却額を控除する
  • リースは中途解約、保守、満了・返却条件を確認する
  • レンタルは回送、補償、休車、延長、繁忙期在庫を確認する
  • 標準・慎重・楽観の稼働日数で損益分岐を計算する
  • 設備資金を支払った後の運転資金残高を確認する

Primary sources

参考にした一次情報