点検商法・注意喚起・相談件数が急増

「分電盤を今すぐ交換」に注意 点検商法の相談が 約25倍

分電盤の点検を口実に高額な交換契約を迫る相談が急増。正規の法定点検との違い、訪問時の断り方、契約後のクーリング・オフを整理します。

公開日
2026年7月23日
読了目安
約10分
対象
分電盤や電気設備の点検電話・訪問を受けた人と、その家族
住宅の壁に設置された扉を開いた状態の分電盤

「電力会社の委託で分電盤を点検する」「古いので火災になる」と訪問し、その場で高額な交換契約を迫る点検商法が増えています。国民生活センターによると、2024年度の相談は11月末までに461件で、前年同期の18件から約25倍になりました。契約当事者の約8割は70歳以上です。正規の法定点検はありますが、突然の電話を信用して家へ入れる必要はありません。地域の一般送配電事業者または経済産業省が公表する登録調査機関へ、公式窓口を自分で調べて確認します。契約してしまった場合も書類を捨てず、消費者ホットライン188へ相談します。

Quick Summary

この記事の要点

  • 急増2024年度は11月末までに461件。前年同期18件の約25倍
  • 正規点検一般家庭の電気設備には原則4年に1回以上の点検があるが、事前に書面で通知される
  • 対応その場で点検・契約せず、電力会社等の公式窓口へ自分で確認。契約後は188へ相談

点検商法・注意喚起

70歳以上を中心に相談が急増した

国民生活センターは2025年1月15日、分電盤の点検商法に関する注意喚起を公表しました。全国の消費生活センター等に寄せられた相談は、2024年度の11月30日時点で461件です。前年同期の18件に比べ、約25倍となりました。

契約当事者の年代が分かる相談では、約8割が70歳以上でした。電話をかけてきた業者が電力会社やその委託先を思わせる名乗り方をし、無料点検を持ちかけます。訪問後に「このままでは火事になる」「すぐ交換しないと危険」と不安をあおり、高額な分電盤交換を契約させる例が報告されています。

分電盤が古いことと、今すぐ交換しなければ火災になることは同じではありません。焦げ、異臭、異音、頻繁な遮断など異常がある場合は使用を控えて電気工事の専門業者へ連絡しますが、訪問した営業担当者の言葉だけで原因と緊急性を判断しません。

点検商法・注意喚起

正規の点検はあるが、事前に書面で知らせる

電気事業法に基づき、一般家庭などの電気設備は、地域の一般送配電事業者または登録調査機関による点検を原則4年に1回以上受けます。この制度があるため、「4年に一度の点検」と言われると本物らしく聞こえます。

経済産業省は、正規の点検では調査員が突然電話して訪問日時を決めるのではなく、実施機関から事前に書面で案内すると説明しています。調査員は身分証明書を携帯します。案内に記載された組織名と連絡先をそのまま信じるのではなく、電力会社や登録調査機関の公式サイトで番号を調べ直して確認します。

法定点検と、分電盤を販売する営業は別です。点検を名乗る訪問で交換契約を勧められても、その場で応じる必要はありません。本当に不具合があるなら、指摘箇所と測定結果を書面でもらい、地域の一般送配電事業者や登録調査機関、別の電気工事業者へ確認します。

点検商法・注意喚起

点検案内と点検商法を見分ける5項目

確認項目立ち止まるサイン
連絡方法突然の電話や訪問だけで、事前の書面がない
名乗り「電力関係」「保安の者」など会社名と所属が曖昧
点検身分証を見せない、点検の根拠と範囲を説明しない
説明測定値や不具合箇所を示さず、火災になると急かす
契約当日限定の値引き、現金払い、ローン契約を迫る

制服、名札、車両、タブレットがあっても正規業者の証明にはなりません。電力会社のロゴに似た表示や、地域の点検予定を知っているような話し方にも頼らず、訪問者とは別の経路で本人確認します。

家族構成、電気料金、契約先、留守の時間を聞かれても答えません。点検を断る理由を詳しく説明する必要はなく、「契約している電力会社へ確認するので今日は対応しません」で十分です。

点検商法・注意喚起

電話では訪問を約束せず、いったん切る

電話を受けたら、会社名と用件だけを確認して切ります。詳しく聞き出そうとせず、相手が伝えた番号にも折り返しません。地域の一般送配電事業者または経済産業省が公表する登録調査機関の公式窓口を自分で調べて連絡します。

「地域を順番に回っている」「点検しないと停電する」と言われても訪問を予約しません。正規の案内が見当たらなければ、地域の一般送配電事業者や登録調査機関へ点検予定を確認します。

高齢の家族が電話に出る家では、電気、屋根、給湯器、排水管などの無料点検を電話だけで受けないルールを共有します。留守番電話や迷惑電話防止機能を使い、家族へ確認してから返答する運用にすると、その場の判断を減らせます。

点検商法・注意喚起

訪問されても、家へ入れず契約しない

約束していない訪問は、インターホン越しに断ります。すでに玄関を開けてしまった場合も、点検口や分電盤へ案内せず、書面を郵便受けへ入れてもらいます。退去を求めても帰らない、威圧的な言動がある、身の危険を感じる場合は警察へ連絡します。

点検を受けてしまっても、写真や部品を見せられただけで自宅のものと断定しません。焦げ跡や破損の指摘は、場所が分かる全体写真、測定項目、数値、基準、交換が必要な理由を書面にしてもらいます。見積書は製品型番、工事費、既存品撤去、追加工事、保証を分けます。

分電盤の交換には電気工事が伴います。価格だけでなく、工事を行う事業者の名称、所在地、連絡先、実際に工事する担当者が必要な資格を持つか、施工保証を確認します。少なくとも別の業者から見積りを取り、緊急性と工事範囲を比較します。

点検商法・注意喚起

契約・工事後でも、すぐ188へ相談する

訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合、法律で定められた契約書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、原則として書面または電磁的記録によりクーリング・オフできる可能性があります。業者が「部品を発注した」「工事日を決めた」と言っても、まず消費者ホットライン188へ相談します。

8日を過ぎていても、書面の不備、事実と異なる説明、威迫などにより解約や取消しを主張できる場合があります。自分で諦めず、契約書、見積書、名刺、チラシ、通話記録、メッセージ、訪問日時を保存します。

クレジットやローンを組んだ場合は、販売業者だけでなく信販会社への連絡が必要になることがあります。すでに工事が始まった、支払い済み、業者と連絡が取れない場合も、状況を時系列で整理して188へ伝えます。

住宅工事の技術的な相談は、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」も利用できます。契約トラブルと工事内容の両方に疑問があるときは、相談先を分けて確認します。

点検商法・注意喚起

本当に異常があるときは、訪問業者と切り分けて対応する

点検商法への警戒と、電気設備の異常を放置しないことは両立します。分電盤から焦げたにおい、煙、異常な熱、音がする、ブレーカーが繰り返し落ちる、変色がある場合は、無理に触らず安全な場所へ移動し、地域の一般送配電事業者や電気工事の専門業者へ連絡します。火災の危険を感じる場合は119番へ通報します。

ブレーカーが落ちる原因は、電気の使いすぎ、漏電、機器や配線の故障などさまざまです。分電盤だけを新品へ交換すれば解決するとは限りません。どの回路で、どんな測定をし、原因をどう判断したか説明を受けます。

製造から長期間経過した設備は更新を検討することがありますが、年数だけで即日交換を決めません。住宅の配線、契約容量、太陽光発電、蓄電池、EV充電設備などの有無を含め、必要な仕様を確認してから見積ります。

点検商法・注意喚起

家族で決める予防ルール

  • 無料点検電話や突然の訪問では受けず、家族か契約先へ確認する。
  • 本人確認相手が示した番号ではなく、公式サイト等で調べた窓口へ連絡する。
  • 玄関対応インターホンで断り、家へ入れない。帰らない場合は警察へ相談する。
  • 即日契約火災を理由に急かされても、当日に署名・支払いをしない。
  • 異常時訪問業者とは別に、契約先や電気工事の専門業者へ確認する。
  • 契約後書類と記録を保存し、すぐ消費者ホットライン188へ相談する。

玄関や電話の近くに「点検は家族へ確認」「消費者ホットライン188」とメモを置く方法もあります。家族は被害を責めず、契約内容と対応期限を一緒に確認します。相談が早いほど、工事開始や支払いの前に対応できる可能性が高まります。

点検商法・注意喚起

ファクトチェックに使用した一次資料

異常がある場合の安全判断は現場状況で異なります。煙や火災の危険があれば119番へ、契約トラブルは消費者ホットライン188へ相談してください。