地震で地面が水っぽくなると、建物の下で何が起きるのか
地震の後、道路が波打ち、マンホールが浮き、建物が傾く。液状化は地面が消える現象ではなく、砂と水の関係が急に変わる現象です。
水を含む緩い砂地盤が揺すられると、粒のかみ合わせが弱まり、水圧が高まります。地盤は建物を支える力を失い、沈下や横方向の移動が起きます。
対策は一つではありません。地盤を締める、水の流れを変える、砂を固める、基礎で荷重を受ける。対象と目的に合わせて選びます。
なぜ砂と水があるだけで、地盤の強さが変わるのか
砂粒の間には水があります。普段は砂粒同士が押し合い、建物の重さを地盤全体で受けます。
強い揺れで砂粒が並び替わると、隙間の水が逃げにくくなります。水圧が上がると砂粒が押し合う力が減り、地盤は一時的に変形しやすくなります。
地下水位が高く、細かい砂が緩く堆積する場所では、調査と判定が特に重要です。埋立地だけを単純に危険と決めつけることも、地図だけで安全と決めることもできません。
液状化対策では、地盤のどこを変えるのか
液状化は、地震時に飽和した砂質地盤の有効応力が低下し、強さと剛性が小さくなる現象です。定義はこの一度だけです。
対策は、砂粒を締め固めて密度を上げる方法、薬液などを浸透させて固結する方法、地下水位や排水条件を変える方法、基礎や構造物で変形を許容・抑制する方法に分けて考えます。
- 締固め砂の密度を上げ、揺れで粒が動きにくい状態にします。
- 浸透注入薬液を砂の間隙へ浸透させ、地盤を固めます。
- 排水揺れで上がる水圧を逃がす考え方です。
- 基礎対策建物の沈下や傾斜を抑えるため、杭や基礎形式を検討します。
対策の目的は、地盤そのものを完全に動かなくすることだけではありません。空港、タンク、住宅、道路では、守りたい性能が違います。
新木場・仙台空港・市原市で、何を守ったのか
東京都江東区新木場の食品加工施設
大成建設の技術センター報は、厚い軟弱層がある新木場の食品加工施設で、液状化対策を併用したパイルド・ラフト基礎を採用した例を報告しています。隣接建物に配慮し、静的締固め砂杭工法を選びました。
2011年の地震では周辺で液状化が起きた一方、資料は対策部で鉛直・水平とも2mm以下の変位に抑えたと報告しています。
仙台空港
同資料は、仙台空港で2008年度以降に耐震化工事を進め、東北地方太平洋沖地震時に滑走路での液状化発生を抑え、支援物資の輸送に早期対応できた事例を紹介しています。
千葉県市原市の貯油タンク
同じ技術資料では、既設の1,100kLタンクを対象に浸透注入固化を施した例も示されています。供用中の設備に近い対策では、施工時に設備を止めないことと、周辺への影響を抑えることが同時の課題になります。
面白さは、地面を強くするだけが答えではないこと
液状化対策は、地盤を硬くする工事というイメージが先に立ちます。実際には、揺れで生じる水圧をどう逃がすか、基礎でどこまで変形を許すかも同じくらい重要です。
新築なら地盤改良と基礎を一体で設計できます。既存施設なら、止められない設備、近接建物、施工時の騒音までが条件になります。
同じ地震でも、地表の変形と建物の被害が同じ形で出るとは限りません。地盤、基礎、建物、配管を別々にせず、復旧の順番まで考える必要があります。
地盤改良の範囲を広げれば安心とは限りません。周辺地盤への影響、工費、工期を比較し、守る性能に見合う範囲を決めます。
地面は建物の外側にあるようで、建物の性能を決める構造の一部です。
発注前に、液状化対策の比較表で何を見るか
最初に決めるのは、液状化をゼロにするという抽象的な目標ではありません。人命に関わる設備を守るのか、建物の継続使用を優先するのか、外構や配管まで復旧を早めるのかを分けます。
工法を比べる時は、改良後の計算値だけでなく施工時の影響を並べます。既存住宅や工場の近くでは、振動、騒音、地盤の押し出し、地下水の変化が選定条件になります。
調査結果、設計条件、施工記録、施工後の確認結果をつなげて保管すると、将来の改修や売買時にも地盤対策の根拠を説明しやすくなります。
| 確認項目 | 確認する理由 | 聞く内容 |
|---|---|---|
| 地盤調査 | 砂層、水位、N値でリスクが変わります。 | 調査深度、地下水位、液状化判定の条件。 |
| 守る対象 | 建物、外構、配管、道路で目標が違います。 | 沈下、傾斜、側方流動の許容範囲。 |
| 工法比較 | 締固め・注入・排水では施工影響が異なります。 | 施工深度、振動、騒音、近接影響。 |
| 既存施設への影響 | 供用を止められない場合があります。 | 施工時間、変位計測、設備保護。 |
| 施工後の確認 | 改良の品質を確かめる必要があります。 | 改良体、N値、地下水、記録の確認方法。 |
許可業種から候補をどう探すか
液状化対策は、地盤改良だけで完結しない場合があります。造成、基礎、道路、建物のどこを守るかに応じて候補を探します。
- とび・土工・コンクリート工事地盤改良、杭、掘削に関係する候補です。とび・土工・コンクリート工事の会社一覧
- 土木一式工事道路、港湾、造成を含めて管理する案件で確認します。土木一式工事の会社一覧
- 建築一式工事建物の基礎設計・改修と一体の案件で確認します。建築一式工事の会社一覧
許可業種は候補整理の入口です。地盤条件が近い実績と、施工後の確認方法まで説明できるかを見てください。
参考にした技術資料
- 大成建設東北地方太平洋沖地震で効果が確認された液状化対策事例で、新木場・仙台空港・市原市の事例を確認しました。
- 大林組液状化から暮らしを守るで、液状化対策技術の考え方を確認しました。
よくある質問
液状化マップで危険なら、必ず対策が必要ですか?
地図は広域の傾向を知る入口です。敷地ごとの地層、地下水位、建物用途を調べて判断します。
杭があれば液状化は気にしなくてよいですか?
杭だけで全ての影響を防げるとは限りません。側方流動や配管・外構も確認します。
既存建物でも対策できますか?
条件によって可能です。近接建物と設備への影響も含めて検討します。