内装会社へ頼めば、設備工事まで終わるのか
壁と床を替え、照明を動かし、空調と給排水も直す。
店舗・オフィス改修には、名前の異なる専門工事が同時に入ります。
窓口が一社でも、全工程を同じ業種で施工するわけではありません。
この記事では、工事ごとの業種と発注前の確認点を整理します。
最初に決めるのは会社名ではなく工事範囲
業者探しの前に、現状と完成後の使い方を整理します。
壁紙の張り替えと、厨房を新設する工事では体制が違います。
移転なら、原状回復と新しい拠点の工事を分けるのが基本です。
- 内装間仕切り、天井、壁、床、造作家具の変更。
- 電気照明、コンセント、分電盤、幹線、非常用設備の変更。
- 空調・給排水空調機、ダクト、給水、排水、給湯、衛生設備の変更。
- 通信・防災LAN、電話、放送、火災報知、避難設備の変更。
既存図面だけでなく、現地調査の結果も工事範囲へ反映します。
内装・電気・管工事は、どこで分かれるのか
国土交通省は、建設工事を29業種に区分しています。
店舗改修やオフィス改修という単独の許可業種はありません。
| 主な工事 | 確認する許可業種 | 具体例 |
|---|---|---|
| 内装仕上げ | 内装仕上工事 | 天井、壁、間仕切り、床、家具、防音。 |
| 電気設備 | 電気工事 | 照明、配線、コンセント、分電盤。 |
| 空調・衛生設備 | 管工事 | 空調、ダクト、給排水、給湯、厨房設備。 |
| ネットワーク | 電気通信工事 | LAN、電話、情報表示、放送設備。 |
| 自動ドア・建具 | 建具工事 | サッシ、シャッター、自動ドア、木製建具。 |
| 総合的な改修 | 建築一式工事 | 複数専門工事を総合的に企画し、調整する工事。 |
工事名だけでなく、実際の施工内容から区分を確認します。
軽微な工事には許可不要となる範囲もあります。
ただし、許可の要否と施工者の適性は別の判断です。
一つの改修で複数業種が必要になる場面
飲食店を開く
客席の内装だけでなく、厨房の給排水と換気が必要です。
調理機器の電源容量やガス配管も先に確認します。
オフィスの座席を増やす
間仕切りを動かすと、照明や空調の位置も合わなくなります。
LAN配線と火災報知設備への影響も確認対象です。
営業中の区画を改修する
施工範囲に加えて、停電、断水、搬入、避難経路を調整します。
窓口会社には、専門業者を束ねる担当者が必要です。
見積もりを頼む前に、何をそろえるべきか
| 確認項目 | 見積もりへ伝える内容 | 比較時に見る点 |
|---|---|---|
| 物件条件 | 用途、面積、階、管理規約、搬入時間。 | 現場条件を工程へ反映しているか。 |
| 既存設備 | 電気容量、空調方式、給排水位置、図面。 | 現地調査の範囲が明確か。 |
| 営業条件 | 休業日、夜間作業、停電・断水可能時間。 | 仮設と復旧の手順があるか。 |
| 見積範囲 | 設計、申請、施工、廃材処理、清掃。 | 別途工事と除外項目が読めるか。 |
| 施工体制 | 元請と各専門工事会社の役割。 | 責任者と連絡経路が明確か。 |
| 既存建材 | 建築年、改修履歴、石綿調査の有無。 | 着工前調査を工程へ入れているか。 |
見積総額だけでなく、含む作業と含まない作業を比べます。
許可業種から候補を探す
最初は、工事の比重が大きい業種から候補を探します。
- 内装仕上工事間仕切り、天井、壁、床が中心となる工事です。内装仕上工事の会社一覧
- 電気工事照明、配線、電源容量を変更する場合の候補です。電気工事の会社一覧
- 管工事空調、ダクト、厨房、給排水を変更する場合に確認します。管工事の会社一覧
通信設備が多ければ、電気通信工事の許可も確認します。
許可業種は施工品質を保証しません。
用途が近い実績、現場管理、説明内容まで比べてください。
建設業許可の業種の見方も判断の補助になります。
参考にした公式資料
- 国土交通省建設業許可の手引き(令和7年4月改訂)で、内装仕上、電気、管、通信、建具、建築一式の区分を確認しました。
- 国土交通省既存建築物の活用の促進についてで、増築や大規模修繕における法適合調査の考え方を確認しました。
- 国土交通省アスベスト対策Q&Aで、改修前に既存資料と現地を調べる必要性を確認しました。
個別案件の許可、確認申請、消防手続は行政機関へ確認してください。
よくある質問
内装仕上工事の許可があれば、店舗改修を一括で頼めますか?
許可だけでは判断できません。間仕切りや床、壁、天井は内装仕上工事が中心ですが、照明や配線は電気工事、空調や給排水は管工事です。会社が自社施工する範囲と、協力会社へ任せる範囲を確認してください。
営業を続けながら改修できますか?
工区分けや夜間施工で営業を続けられる案件もあります。ただし、停電、断水、騒音、粉じん、避難経路への影響を整理し、利用者と作業員を分離できることが前提です。
許可業種が多い会社ほど改修に向いていますか?
一概には言えません。許可業種は候補を探す入口です。用途が近い改修実績、工程調整の担当者、設備工事の体制、見積もりの範囲をあわせて確認します。