防災・住宅点検・第5報(2026年7月29日14時時点)

熊本地震、自宅へ戻る前に確認すること 危険サイン・電気ガス・修理契約の順番

令和8年熊本地震後、自宅へ入らない方がよい危険サイン、電気・ガス・水道の初動、応急危険度判定、被害写真、ブルーシート掛けの高額請求を避ける確認事項を整理します。

公開日
2026年7月29日
読了目安
約11分
対象
被災地域で自宅の安全確認と修理を考える住宅所有者
地震後の住宅安全確認を表す、玄関の懐中電灯・防災バッグ・分電盤のイメージ

令和8年熊本地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。余震が続くなか、まずはご自身とご家族の安全を優先してください。住まいの状態が気になっても、安全を確かめられない建物へ無理に戻る必要はありません。自宅へ戻る前に、まず離れた場所から建物、塀、電線を見ます。傾きや落下物、ガス臭などがあれば中へ入らず、避難を続けてください。安全を確かめられた場合に限り、ライフライン、被害写真、修理契約の順で確認します。

Quick Summary

この記事の要点

  • まず外から建物の傾き、大きな割れ、外壁や瓦の落下、切れた電線、ガス臭があれば近づかない
  • ライフライン安全に入れる場合だけ異臭・煙・水ぬれを確認。異常がなければブレーカーを切って機器を見る
  • 被害の記録片付けや修理の前に、安全な場所から建物全体と被害箇所を写真で残す
  • 修理契約ブルーシート掛けも、作業前に会社情報、作業範囲、追加条件を含む総額を書面で決める

防災・住宅点検

最大震度7、住宅被害の全体像はまだ分かっていない

2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方でマグニチュード7.1(暫定値)の地震が発生し、宇城市と氷川町で最大震度7を観測しました。

国土交通省第5報の7月29日12時時点の集計では、最大震度7の地震を含め、震度3以上を観測した地震は計48回です。第5報には民間住宅の被害棟数は示されておらず、住宅被害の全体像はまだ分かっていません。

同報は、2県11自治体の約8万4,000戸が断水中とも報告しています。被害状況、避難、給水、道路、住宅支援は今後更新されるため、自治体とライフライン事業者の最新情報を優先してください。

防災・住宅点検

まず建物の外から見て、危険なら入らない

最初に見るのは、玄関の鍵ではなく建物と周囲の状態です。少し離れた安全な場所から、家の傾き、基礎や外壁の割れ、屋根材・外壁材の落下、塀や敷地を支えるコンクリート壁のずれを見ます。割れの大きさを判断できない場合も、無理に中へ入りません。

  • 建物全体が傾き、柱や壁が大きく変形している
  • 基礎や外壁に大きな割れやずれがあり、壁が外側へ膨らんでいる
  • 瓦、外壁材、窓ガラス、看板などが落ちかけている
  • ブロック塀や敷地を支える壁が傾き、地面との間に隙間や段差がある
  • 切れた電線や、電線に触れている金属・樹木がある
  • ガスの臭い、焦げた臭い、異音がする

一つでも当てはまれば、建物へ近づかず、市町村や消防などの案内に従ってください。見た目に問題が少なくても、余震で状態が変わることがあります。屋根、外壁の直下、塀のそば、崩れた斜面には長くとどまりません。

防災・住宅点検

赤・黄・緑は、余震による危険を知らせる応急判定

被災建築物応急危険度判定は、余震による倒壊や外壁・窓ガラスの落下など、二次災害を防ぐために市町村が行う応急的な調査です。結果は建物の見やすい場所に、赤・黄・緑のステッカーで表示されます。

表示意味取る行動
赤「危険」建物へ立ち入ることが危険入らず、自治体の案内を確認する
黄「要注意」立ち入りには十分な注意が必要ステッカーに書かれた注意事項を守り、自己判断で長く滞在しない
緑「調査済」応急判定では使用可能恒久的な安全性を保証するものではない。新しい亀裂や傾きがあれば入らず相談する

第5報では、7月29日12時時点で、震度5強以上を観測した熊本県、長崎県、鹿児島県に実施意向を確認中です。実施地域と対象はまだ公表されていません。応急危険度判定は、罹災証明書のための住家被害認定とは目的が異なります。緑の「調査済」でも、保険や支援制度上の被害がないという意味ではありません。

防災・住宅点検

ガス臭がするときは、電気のスイッチに触れない

室内でガスの臭いに気づいたら、火を使わず、換気扇、照明、分電盤などの電気スイッチにも触れず屋外へ出ます。スイッチの火花が着火につながるおそれがあるためです。窓や戸は、退避の途中に無理なく開けられる場合だけにし、安全な場所からガス事業者の緊急窓口へ連絡してください。

建物へ安全に入れ、ガス臭、焦げた臭い、煙、水ぬれがない場合に限り、ブレーカーを切ってから電気製品やコードの状態を見ます。避難時にブレーカーを切れなかった場合、経済産業省は帰宅時にまずブレーカーを切り、機器の電源プラグを抜くよう案内しています。分電盤や配線が水にぬれている、壊れている、焦げている場合は触れず、電力会社や電気工事店へ連絡します。

ガスメーターは、震度5相当以上の揺れなどを感知するとガスを自動で止めます。ただし、ガスが止まったからといって、すぐ復帰操作をする必要はありません。ガス臭、機器や配管の損傷がないことを確認できない場合は、ガス事業者へ相談します。断水や濁水が発生している地域では、水道事業者が飲用可能と案内するまで、濁りや異臭のある水を飲まないでください。

防災・住宅点検

片付ける前に、安全な範囲で写真を残す

安全を確保できたら、片付けや修理の前に被害を写真で残します。罹災証明書の申請や保険会社への連絡で、被害状況を説明する材料になるためです。

家の外は、建物全体が分かる写真をなるべく4方向から撮ります。家の中は、被災した部屋の全景と、亀裂・落下・破損箇所へ近づいた写真を組み合わせます。撮影日時と場所が後から分かるよう、簡単なメモも残しておくと整理しやすくなります。

写真のために危険な場所へ入ったり、屋根へ上がったりしてはいけません。撮影できない被害は、自治体や保険会社へその事情を伝えます。

防災・住宅点検

ブルーシート掛けも、作業前に金額を決める

雨漏りを防ぐブルーシートは、住宅を守るために必要な応急処置です。問題はシートそのものではなく、総額や作業範囲を決めないまま作業が始まり、終了後に初めて高額な請求を受けることです。

地震後は地元の工務店や瓦店へ依頼が集中します。その状況につけ込み、「近くで工事をしている」「今ならすぐ覆える」と訪問し、契約を急がせる災害便乗の悪質商法に注意が必要です。雨を防ぐ一時的なシート掛けでも、次の内容を作業前に決めておきます。

  • 会社名、所在地、担当者名、後から連絡できる電話番号
  • 屋根のどこを、どこまで覆うのか。使用するシートと固定方法
  • 材料費、高所作業費、出張費、休日・緊急対応費を含む総額
  • 応急処置だけか、本修理の契約まで含むのか
  • 追加費用が発生する条件と、作業前に承諾を取る方法
  • 作業前後の写真、見積書、契約書、領収書を出せるか

金額が決まらないまま「とりあえず掛けます」と言われたら、作業開始をいったん止めます。屋根へ自分で上らず、市町村の住宅相談窓口、家を建てた会社、管理会社、複数の屋根工事会社へ連絡してください。雨漏り修理業者を選ぶときの確認手順も参考になります。

防災・住宅点検

料金を決めず、後から8万~23万円を請求された相談も

次の金額は料金相場ではなく、消費生活センターへ寄せられた過去の相談事例です。料金を決めずに応急処置を頼む危険を知る材料になります。

災害・公表資料相談内容
2016年熊本地震作業費を決めずにシート掛けを依頼。2人で約1時間の作業後、23万円を請求された
2024年能登半島地震約80万円の屋根工事を解約すると、契約前のシート設置代として約8万円を請求された
能登半島地震・開設後1年間補助金5万円に2万~3万円程度を足す認識で依頼したが、作業後に約18万円を請求された

国民生活センターは、契約前に行われた作業について一方的に決められた代金は、基本的には支払う必要がないと案内しています。金額に納得できないときは、その場で支払わず、局番なしの188へ電話してください。最寄りの消費生活センターにつながります。

訪問販売なら、契約書面を受け取ってから8日以内は、原則として無条件で契約を解除できるクーリング・オフの対象になる場合があります。脅された、居座られたなど身の危険がある場合は警察へ連絡します。

防災・住宅点検

「保険金で無料」は、加入先へ先に確認する

「保険金で自己負担なく直せる」「保険申請を代行する」と言われても、その場では契約せず、先に保険会社や代理店へ確認してください。保険金の請求は加入者自身で行うのが基本で、訪問業者が給付を確約できるものではありません。

国民生活センターの2026年3月の公表資料には、台風後に保険申請を代行し、受け取った保険金総額の45%を成功報酬として求める契約の相談事例もあります。地震保険や火災保険の対象範囲は契約内容と損害原因で変わります。

今回の地震で利用できる住宅支援と手続きは、今後の公表を確認する必要があります。本修理を契約する前に、市町村と保険会社へ相談してください。

防災・住宅点検

今日することを5つに絞る

  1. 自宅へ近づく前に、建物、塀、電線、斜面を離れた場所から見る
  2. 危険を感じたら入らず、避難先と市町村の情報を確認する
  3. 安全に入れる場合だけ、ガス臭、焦げた臭い、煙、水ぬれがないか確かめる。異常がなければ、ブレーカーを切ってから電気製品やコードを見る
  4. 片付ける前に、安全な場所から被害写真を残す
  5. 応急のシート掛けも本修理も、会社情報、範囲、総額を書面にしてから頼む

家の状態は、余震や雨で変わります。余震や雨の後は、建物の状態が変わっていないか離れた場所から見直してください。危険を感じたら中へ入らず、修理を急かされても一人で契約を決めないことが大切です。

防災・住宅点検

公式情報・相談先

この記事は2026年7月29日14時時点の公表資料をもとにした一般的な情報整理です。被害状況、応急危険度判定、避難・給水、住宅支援の情報は今後更新されます。自治体、ライフライン事業者、保険会社の最新案内を確認してください。