建設技術図鑑

レインボーブリッジと横浜ベイブリッジは仕組みが違う: 吊橋と斜張橋

レインボーブリッジは吊橋、横浜ベイブリッジは斜張橋です。似て見える二つの長大橋で、ケーブルの役割、主塔、維持管理、発注時の確認点を整理します。

更新日
2026年7月11日
読了目安
11分
テーマ
橋梁・ケーブル・維持管理
レインボーブリッジの主ケーブルとハンガーロープ、横浜ベイブリッジの主塔から放射状に伸びる斜材を比較する図

似た景色でも、橋を支える力の流れは違う

東京のレインボーブリッジと横浜ベイブリッジ。どちらも二本の主塔とケーブルを持ち、港の風景をつくる橋です。

けれど、レインボーブリッジは吊橋、横浜ベイブリッジは斜張橋です。ケーブルを使う点は同じでも、桁を支える道筋が違います。

この違いは造形の好みではありません。主塔、基礎、桁、施工順序、点検する部材までを変える構造の選択です。

なぜ長い橋では、ケーブルが必要になるのか

橋の支間が長くなると、桁は自分自身の重さだけで大きくたわみます。桁を厚くすれば重くなり、その重さを支えるためにさらに大きな構造が必要になります。

ケーブルは引張力を受ける材料として効率がよく、桁の重さを主塔やアンカレイジへ逃がせます。海上の航路を高く確保し、橋脚を少なくしたい場所では、ケーブル橋が有力な選択になります。

吊橋が得意なこと

両岸の大きな定着部と主ケーブルを使い、非常に長い支間を渡します。

斜張橋が得意なこと

主塔から直接伸びる斜材で桁を細かく支え、中長支間を合理的に構成します。

吊橋と斜張橋では、ケーブルがどう働くのか

吊橋は、主塔を越えて両岸のアンカレイジに定着した主ケーブルから、ハンガーロープを垂直に下げて桁をつる橋です。斜張橋は、主塔から桁へ斜めに張ったケーブルで、桁を直接支える橋です。定義はこの一度だけで十分です。

吊橋では主ケーブルが大きな曲線を描き、荷重をアンカレイジと主塔へ伝えます。斜張橋では、斜材の張力が桁を上へ引き、同時に主塔へ圧縮力を伝えます。どちらもケーブルの張力調整と、風・地震に対する挙動の確認が欠かせません。

  • 主ケーブル吊橋で主塔とアンカレイジを結ぶ太いケーブルです。
  • ハンガーロープ吊橋の主ケーブルから垂れ、桁をつり下げる部材です。
  • 斜材斜張橋で主塔と桁を直接結ぶケーブルです。
  • アンカレイジ吊橋の主ケーブルを地盤へ定着する大きな構造物です。

二つの港の橋は、何を優先して構造を選んだのか

レインボーブリッジ: 都心と臨海部を結ぶ二層の吊橋

東京都港湾局は、レインボーブリッジを上層に首都高速11号台場線、下層に臨港道路と新交通システムを通す二重構造の吊橋と説明しています。吊橋部の長さは918m、主塔の高さは127mです。道路とゆりかもめを同じ橋に通すため、桁の役割と荷重条件が多層に重なります。

横浜ベイブリッジ: ダブルデッキの斜張橋

横浜市の資料は、横浜ベイブリッジを全長860m、中央径間460m、桁下高さ55mのダブルデッキ形式の斜張橋と記載しています。主塔から斜めに伸びるケーブルが桁を直接支えるため、港を横断する長い一径間を、主ケーブルを地上へ大きく定着させずに成立させます。

本州四国連絡橋: 観測で構造を使い続ける

JB本四高速は、吊橋や斜張橋は風や地震で変形が大きく、挙動も複雑だと説明しています。同社は定時観測と強風・地震時の応答観測を行い、設計の妥当性確認と長期健全性の評価に使っています。ケーブル橋は完成後も、計測によって構造の状態を読み続けます。

面白さは、ケーブルが「細い部材」ではなく橋全体の地図になること

吊橋のケーブルは、大きくたわんだ主ケーブルから多くのハンガーを下げます。斜張橋のケーブルは、主塔から放射状または扇状に伸びます。どちらも見た目に表れる線が、そのまま力の流れを表しています。

だから点検も線を追います。吊橋では主ケーブルとハンガー、斜張橋では斜材の張力、定着部、腐食防護を見ます。長大橋は風と交通で常に少し動きます。動くことを前提に、どの変化が正常かを把握し続ける構造です。

港の橋は塩分、強風、通行荷重にもさらされます。塗装を塗り替える、ケーブルの状態を測る、排水を直すといった地道な保全が、象徴的な姿を支えます。新しく架けるときも、点検員が将来どこへ入り、どの部材へ近づけるかまで設計に入れる必要があります。

発注前に何を確認すると、ケーブル橋の提案を比べられるか

確認項目見る理由質問例
支間と航路条件橋脚位置と必要な桁下高さが形式選定を左右するため。必要な航路限界と橋脚設置条件は何か。
風・耐震解析長大橋は風と地震で複雑に変形するため。風洞試験、制振対策、地震時の照査は何か。
ケーブル防食ケーブルの劣化は安全性と更新費に直結するため。被覆、送気、除湿、点検の方法は何か。
張力管理張力のばらつきが桁・主塔の状態に影響するため。施工時と供用中の測定基準は何か。
点検設備高所・海上で継続点検するため。点検車、足場、観測装置をどう確保するか。

許可業種から候補をどう探すか

長大橋を総合的に建設・更新する候補は土木一式工事から探します。鋼桁、主塔、ケーブル定着部の製作・施工は鋼構造物工事、防食塗装の更新は塗装工事も確認します。

許可業種は入口です。長大橋では、同形式の設計・架設実績、ケーブルの防食・張力管理、海上施工と維持管理の体制を分けて確認してください。

参考にした技術資料

  • 東京都港湾局東京港の交通でレインボーブリッジの形式、二重構造、吊橋部長、主塔高を確認しました。
  • 横浜市横浜市会資料で横浜ベイブリッジの形式、全長、中央径間、桁下高を確認しました。
  • JB本四高速長大橋の保全技術で吊橋・斜張橋の動態観測を確認しました。
  • JB本四高速本四技報でケーブル張力の点検管理を確認しました。

よくある質問

吊橋と斜張橋は、見た目以外に何が違いますか?

吊橋は主ケーブルから垂直に下げたハンガーで桁をつり、斜張橋は主塔から斜めに張ったケーブルで桁を直接支えます。

レインボーブリッジは全部が吊橋ですか?

東京都港湾局は、吊橋部の長さを918mと案内しています。橋全体には取り付け道路・高架部も含まれます。

ケーブル橋は風に弱いのですか?

長大橋は風で大きく変形しやすいため、設計時の風洞試験や解析、完成後の観測、点検を組み合わせます。