建設業法・許可・2025年2月改定・行政処分事例

一般建設業と特定建設業の違い 下請代金の現行基準と行政処分事例

特定建設業許可が必要になる下請代金の現行基準は5,000万円、建築一式は8,000万円です。算定方法、2025年改定、行政処分3例を整理します。

公開日
2026年7月22日
読了目安
約13分
対象
元請建設会社の経営者、営業・積算・契約担当者
複数工種の資材と作業区画を備えた鉄骨倉庫建設現場のイメージ

この記事で直接確認が必要なのは、発注者から工事を請け負い、下請へ発注する元請です。一次下請とは、元請から直接工事を請け負う会社を指します。2025年2月1日以降の現行基準は、一次下請との契約総額が建築一式工事以外で税込5,000万円以上、建築一式工事で税込8,000万円以上です。一般の発注者が一次下請総額を管理する制度ではありません。

Quick Summary

この記事の要点

  • 現行基準一次下請総額が5,000万円以上、建築一式工事は8,000万円以上なら特定建設業許可が必要
  • 対象発注者から直接工事を請け負う元請に適用され、元請受注額自体に上限はない
  • 計算消費税を含み、複数の一次下請契約は合算し、元請が提供する材料等の価格は含めない

建設業法・許可

違いは元請が一次下請へ出す総額にある

特定建設業許可が必要になるのは、発注者から直接請け負った元請が、1件の工事について一定額以上の下請契約を締結して施工する場合です。一般建設業許可は、それ以外の形で許可工事を請け負う事業者が取得します。

現行基準は、建築一式工事以外が税込5,000万円以上、建築一式工事が税込8,000万円以上です。一次下請が複数ある場合は、その契約額を合計します。例えば、建築一式以外でA社2,000万円、B社1,800万円、C社1,300万円なら合計5,100万円となり、元請にはその業種の特定建設業許可が必要です。

この区分は、許可業種が契約内容と一致しているかという問題とは別です。業種違いは許可業種が違う行政処分事例で整理しています。まず必要業種を決め、その業種について一般・特定のどちらが必要かを確認します。

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2025年2月1日から5,000万円・8,000万円へ改定

国土交通省は建設工事費の高騰を踏まえ、建設業法施行令の金額要件を改定しました。特定建設業許可を要する下請代金額の下限は、2025年2月1日に4,500万円から5,000万円へ、建築一式工事では7,000万円から8,000万円へ引き上げられました。

元請工事の区分2025年1月31日まで2025年2月1日以降
建築一式以外4,500万円以上5,000万円以上
建築一式工事7,000万円以上8,000万円以上

現在の新規契約を確認する記事では5,000万円・8,000万円を使います。一方、過去の行政処分を読むときは、その工事や契約に適用された当時の基準で判断します。現在の数字を過去の事例へ遡って当てはめることはできません。

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総額の計算で含むもの・含まないもの

基準額は、発注者から直接請け負った1件の工事について、元請が締結する一次下請契約の総額で判定します。二次下請以下の契約額を元請が重ねて加算する仕組みではありません。一次下請がその工事をさらに下請へ出す場合も、一次下請は発注者から直接請け負った元請ではないため、この基準による特定建設業許可の制限は受けません。ただし、各社に必要な許可業種や技術者配置など、別の規定は適用されます。

  • 消費税消費税と地方消費税を含む下請契約額で判定する。
  • 複数契約1件の元請工事に関する一次下請契約が複数あれば合算する。
  • 提供材料元請が提供する材料等の価格は、特定建設業の判定額に含めない。
  • 元請受注額発注者との元請契約額そのものには、一般建設業許可による上限がない。

受注額が1億円でも、元請が自社施工し、一次下請総額が基準未満なら一般建設業で対応できる場合があります。反対に元請受注額が大きくなくても、一次下請総額が基準以上なら特定建設業許可が必要です。

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事例1 公共工事で法定額以上の下請契約を締結

東京都は2025年10月23日、有限会社兼平に対する営業停止処分を公表しました。同社は東京都知事(般-3)第127603号の一般建設業許可を受けていましたが、特定建設業許可を持たないまま、東京都内の公共工事で建設業法施行令第2条の金額以上となる下請契約を締結したとされています。

東京都は建設業法第3条第1項第2号違反に当たり、同法第28条第1項第2号および第3項に該当すると判断しました。処分は建設業に係る営業の全部を対象とする7日間の停止で、2025年11月6日から12日までです。

公表資料は公共工事であることを示していますが、公共工事だけに特定建設業の基準があるわけではありません。民間工事でも、発注者から直接請け負う元請が法定額以上の一次下請契約を結ぶなら同じ確認が必要です。

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事例2 特定許可なしの下請契約と監理技術者の配置違反

大分県は2025年12月23日、フォーユーホーム株式会社に指示処分を行いました。同社は大分県知事(般-04)第10001号の建築工事業の一般建設業許可を受けていました。大分県の監督処分簿によると、民間発注の建築一式工事で、特定建設業許可を持たないまま、建設業法第16条に違反する法定額以上の下請契約を締結しました。

同じ工事では、本来設置すべき監理技術者について、資格要件を満たさない者を配置した事実も認定されています。県は法令順守の周知、研修、施工体制と技術者資格を事前確認する仕組みの整備、措置内容の報告などを指示しました。

公表資料には契約日と具体的な下請総額が記載されていません。そのため、本記事では現在の8,000万円基準を当該契約へ直接当てはめず、「当時適用される法定額以上」と扱います。また、指示処分は下請総額だけでなく、監理技術者の資格要件違反も含む処分です。

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事例3 消防施設工事で特定許可なしの下請契約

国土交通省のネガティブ情報等検索サイトには、京都府が2022年3月14日に大春商事株式会社へ行った指示処分が掲載されています。同社は京都府知事(般-29)第12825号の一般建設業許可を受けていました。

処分理由は、発注者から直接請け負った消防施設工事で、特定建設業許可を持たないまま、当時の政令で定める金額以上の下請契約を締結し、建設業法第16条第1項に違反したことです。京都府はこの行政処分を受け、同社に対して2022年3月18日から7月17日まで4か月の入札参加停止措置も行いました。

この事例の下請契約には、契約時点で施行されていた金額基準が適用されます。この事例を現在の5,000万円基準で再判定することはできません。確認できるのは、一般建設業者が元請として法定額以上の下請契約を締結した点と、それに対して指示処分および別途の入札参加停止が行われた事実です。

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見積段階から一次下請総額を管理する

特定建設業の要否を契約後に確認すると、発注構成を変えられず、工期にも影響します。元請は見積・受注判断の時点で、工事ごと、許可業種ごとに一次下請予定額を集計します。

  1. 発注者から直接請け負う工事かを確認する。
  2. 元請工事の業種が建築一式か、それ以外かを判定する。
  3. 一次下請候補ごとの税込契約予定額を一覧にする。
  4. 追加、変更、別途契約を同じ工事単位で合算する。
  5. 元請が提供する材料等の価格を区分して記録する。
  6. 合計が基準へ近づいた時点で、特定建設業許可と監理技術者の資格・配置を確認する。
  7. 契約後も注文書、変更契約、出来高の増減を反映して再計算する。

営業、積算、工務が別々の表で管理すると、追加工事の合算漏れが起きやすくなります。工事番号を共通キーにして、一次下請契約の承認前に累計額を確認できる運用が必要です。

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一般・特定についてのよくある勘違い

元請受注額が8,000万円以上なら、必ず特定建設業ですか?

いいえ。建築一式工事の8,000万円は元請受注額ではなく、一次下請契約の総額です。元請契約額そのものに一般建設業の上限はありません。

一次下請1社が5,000万円未満なら一般建設業でよいですか?

1社ごとではなく、1件の元請工事に関する一次下請契約を合算します。複数社の合計が基準以上なら特定建設業許可が必要です。

下請会社にも5,000万円・8,000万円の制限がありますか?

この基準は発注者から直接工事を請け負う元請に適用されます。ただし、下請にも請け負う業種の許可、主任技術者、再下請負通知など別の義務が関係します。

基準額を超えそうなら契約を分ければよいですか?

同じ元請工事について締結する一次下請契約は合算します。契約書を複数に分けても、総額の判定を回避できません。

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ファクトチェックに使用した一次資料

この記事は2026年7月22日時点の法令・公表資料をもとにした一般的な実務整理です。行政処分事例は処分当時の公表事実であり、各社の現在の許可、営業、法令順守の状態を示すものではありません。個別工事の業種区分、契約額の算定、許可の要否は、許可行政庁、建設業に詳しい行政書士または弁護士へ確認してください。