
2026年度の建築GX・DX推進事業は、建築BIMの導入や建築物のライフサイクルカーボン評価に必要な費用を支援します。ただし、一社でソフトを買えば半額になる制度ではなく、複数事業者の連携、建物要件、登録、3年間の報告が必要です。
Quick Summary
この記事の要点
- BIM活用型対象経費の1/2。設計費・建設工事費は延べ面積別の上限あり
- LCCO2評価評価のみは定額補助で1プロジェクト上限650万円
- 期限交付申請の本受付は9月末、代表事業者等登録は12月31日まで
建築DX・補助金
BIM活用型とLCCO2評価実施型の二本立て
建築GX・DX推進事業には、大きく「BIM活用型」と「LCCO2評価実施型」があります。
BIMは、建物の形状に部材の仕様、数量、設備情報などを組み込んだデジタルモデルです。図面作成だけでなく、干渉チェック、施工計画、工程管理、部材加工、維持管理への引継ぎにも使います。
LCCO2は、建材の製造、施工、建物の使用、改修、解体までを通じて排出される二酸化炭素を評価する考え方です。両方を同時に行うこともできますが、その場合は双方の要件を満たす必要があります。
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BIM活用型は元請と協力会社の連携が前提
BIM活用型は、一社だけの社内IT導入補助ではありません。元請事業者等が代表事業者となり、代表事業者のほか少なくとも一社以上の設計者または施工者がBIMを導入します。
代表事業者は、建築士事務所として登録された者または建設業許可を受けた者であることが必要です。BIM経験の有無は問われないため、初めて本格導入する会社も登録できます。
- 参加事業者元請と下請・協力会社等が共同でBIMを活用する。
- 事業者登録原則として交付申請前にBIM活用事業者登録を受ける。
- 維持管理元請は維持管理の効率化に使えるBIMモデル整備を宣言する。
- 完了後参加事業者は3年間、BIM活用状況等を報告する。
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対象建物と大規模新築の追加要件
対象は新築だけでなく改修も含みます。原則として耐火建築物等または準耐火建築物等で、省エネ基準へ適合することが必要です。災害リスク区域など立地に関する除外・条件もあります。
地区面積1,000㎡以上、延べ面積1,000㎡以上、地階を除く階数3以上の全条件に該当する大規模新築では、国が定める高度なBIM利用方法も必要です。
例として、クラウドでのモデル共有、設計シミュレーション、意匠・構造・設備の干渉チェック、安全・工程管理、重機配置、部材加工、BIM図面審査などが示されています。単にモデルを作成するだけでなく、プロジェクトでどう使ったかが問われます。
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LCCO2評価実施型は発注者も申請主体になれる
LCCO2評価実施型では、発注者、設計者または施工者が建築物のライフサイクルカーボンを算定します。建物用途は問いません。
評価ツールは、資材製造、施工、使用段階の資材関連、光熱水、解体という区分で算定できることが必要です。国のJ-CATを使う場合は標準算定法または詳細算定法を利用します。
基本設計完了時、実施設計完了時または竣工時に評価し、結果を国土交通省等へ報告します。発注者は、何の判断に評価を使うのか、設計者・施工者からどのデータを集めるのかを発注段階で決めます。
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補助率と面積別の上限
BIM活用型は対象経費の1/2を補助します。BIMソフト、関連するPC・ARゴーグル等、CDE、BIMコーディネーター・マネジャー、講習費などが対象になり得ます。
| 延べ面積 | 設計費上限 | 建設工事費上限 |
|---|---|---|
| 1万㎡未満 | 2,500万円 | 4,000万円 |
| 1万〜3万㎡未満 | 3,000万円 | 5,000万円 |
| 3万㎡以上 | 3,500万円 | 5,500万円 |
LCCO2評価のみは定額補助で上限650万円です。BIMモデルを作成してLCCO2評価も行う場合、評価費の上限は500万円。CO2原単位等の策定には一件400万円を加算でき、一事業者の加算上限は1,000万円です。
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購入額の半分がそのまま戻るわけではない
ソフトやPC等を購入した場合、購入価格全体がそのまま補助対象になるとは限りません。2万円以上で、プロジェクト終了後も使える備品やソフトは、終了時点の残存価値相当額を控除します。
月額サブスクリプションやレンタルは、登録申請日以降に契約し、補助対象期間内に使用・支払った額が基本です。市場価格より不当に高い費用や、対象プロジェクトで使わない講習・ソフトは対象になりません。
登録申請日から交付決定までに契約した費用も対象になり得ますが、交付決定されなければ補助は受けられません。先行契約する場合は全額自己負担になるリスクを判断します。
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9月末の本受付から逆算する
| 手続 | 2026年度の日程 | 注意 |
|---|---|---|
| 代表事業者等登録 | 4月7日〜12月31日 | 登録しても補助金は保証されない |
| 交付申請 | 7月1日〜9月末 | 予算到達で早期終了する場合がある |
| 9月末後 | 仮受付 | 予算は確保されず、財源が生じた場合のみ本受付 |
| 完了実績報告 | 2027年2月頃まで | プロジェクトごとの期限を確認 |
BIM活用型は代表事業者が協力事業者分を取りまとめて交付申請します。各社の見積、登録、担当範囲、証拠書類が揃わなければ代表会社だけでは申請できません。
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地域ゼネコンと設備会社の導入例
延べ面積4,000㎡の事務所新築で、地域ゼネコンと設備会社がBIMモデルを共有する仮想例を考えます。元請は代表事業者となり、設備会社のソフト導入や講習を支援します。
設計段階では意匠・構造・設備モデルを重ねて配管と梁の干渉を確認し、施工段階では仮設、重機、資材搬送の計画へ使います。竣工後は設備情報を含むモデルを維持管理へ引き渡します。
申請では、ソフト名と金額だけでなく、参加会社、モデルの担当範囲、共有方法、施工での利用、維持管理データ、完了後3年間の報告体制まで決める必要があります。
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元請・下請・発注者の役割
- 元請・代表事業者協力会社を取りまとめ、モデル利用ルール、申請、証拠書類、実績報告を管理する。
- 下請・専門工事会社自社で必要なライセンス、端末、教育、モデル作成範囲と費用負担を契約前に確認する。
- 設計事務所意匠・構造・設備モデルの作成責任、更新時期、成果物の利用権を整理する。
- 発注者LCCO2評価の利用目的、算定時点、必要データ、設計・施工者との分担を発注時に示す。
代表会社だけがBIMを操作し、協力会社はPDFを見るだけという体制では、共同導入の説明が弱くなります。各社がどの業務でモデルを使うかを明文化します。
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今日やること
- 2026年度中にBIMまたはLCCO2評価を使う候補案件を洗い出す。
- 建物の構造、省エネ適合、規模、立地要件を確認する。
- 元請、設計、専門工事会社の代表・協力事業者を決める。
- ソフト、端末、人件費、講習、CDEを対象経費と対象外へ分ける。
- 参加会社のBIM活用事業者登録を進める。
- 9月末から逆算して見積・申請・完了後報告の担当者を決める。
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よくある勘違い
BIMソフトを買えば半額が必ず補助されますか?
必ずではありません。プロジェクト要件、複数事業者の連携、登録、交付決定が必要で、残存価値も控除されます。
一社だけの社内研修や導入も対象ですか?
BIM活用型は元請と少なくとも一社以上の設計・施工事業者が連携するプロジェクトが基本です。
代表事業者登録で予算を確保できますか?
できません。プロジェクトごとの交付申請と審査があり、予算到達時には受付が終了します。
補助事業終了後は報告不要ですか?
BIM活用事業者は完了後3年間、活用状況等を報告します。証拠書類の保存も必要です。
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ファクトチェックに使用した一次資料
- 国土交通省2026年度建築GX・DX推進事業
- 国土交通省2026年度募集要領(PDF)
- 国土交通省事業概要(PDF)
制度の適用は契約、発注機関、工事条件、申請時点で異なります。この記事は公表資料をもとにした一般的な実務整理です。個別案件は所管行政庁、発注機関、労働基準監督署、制度事務局または専門家へ確認してください。