積算・労務・2026年3月から適用

公共工事設計労務単価は平均4.5%上昇 入札と変更協議で確認する点

2026年3月の公共工事設計労務単価は全国全職種平均で4.5%上昇。地域・職種別単価、必要経費、契約変更の確認方法を整理します。

公開日
2026年7月11日
読了目安
約11分
対象
公共工事の経営者、積算・入札担当者、専門工事会社
地域別の労務単価と工事見積を比較する建設会社の積算担当者

2026年3月から公共工事の予定価格積算に使う設計労務単価が改定され、全国全職種の伸び率は平均4.5%となりました。ただし、全工事の請負代金や技能者の日給が一律4.5%上がる制度ではありません。

Quick Summary

この記事の要点

  • 改定全国全職種の伸び率は単純平均で前年度比4.5%、14年連続上昇
  • 金額全国全職種の加重平均は1日8時間当たり25,834円
  • 注意地域・職種別単価を使い、法定福利費や会社経費は別に積み上げる

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公共工事設計労務単価とは

公共工事の発注者は、工種ごとの標準的な作業量である歩掛に、地域・職種別の労務単価を掛けるなどして予定価格を積算します。その基礎になるのが公共工事設計労務単価です。

国土交通省と農林水産省は毎年、公共事業等に従事した建設技能者の賃金支払実態を調べ、47都道府県・職種別に単価を設定します。2026年3月単価は、2025年10月に施工中だった対象工事から標本を集め、所定労働時間内8時間当たりへ換算して決定されました。

これは公共工事の積算に用いる単価です。最低賃金、全国一律の日給、個別の雇用契約で必ず支払う額のいずれでもありません。

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4.5%と25,834円は計算方法が違う

全国全職種の「4.5%」は、都道府県・職種別の伸び率を単純平均した数字です。一方、25,834円は標本構成を踏まえた全国全職種の加重平均額です。同じ平均でも計算方法が異なります。

数字意味使い方
4.5%全国全職種の伸び率の単純平均改定全体の傾向を見る
25,834円全国全職種の1日8時間当たり加重平均全国傾向を見る。個別積算へ直接使わない
地域・職種別単価都道府県、職種ごとに設定した単価個別案件の積算確認に使う

とび工、鉄筋工、型わく工、普通作業員、交通誘導警備員などで金額も伸び率も異なります。入札時は全国平均ではなく、工事場所と積算職種に該当する表を確認します。

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単価に含まれるもの・含まれないもの

設計労務単価には、基本給相当額、通常の作業条件に対する基準内手当、賞与等の臨時給与、食事支給等の実物給与を8時間当たりへ換算した額が含まれます。

一方、時間外・休日・深夜の割増賃金、通常を超える特殊条件の手当、現場管理費、一般管理費等は含まれません。事業主負担の法定福利費、研修訓練費なども単価そのものには含まれず、公共積算では現場管理費等に含まれます。

国土交通省は、下請代金へ必要経費分を計上しないこと、または必要経費分を値引くことを不当行為と明記しています。単価表だけを切り出して「会社経費まで全部込み」と扱うのは誤りです。

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職種によって金額も伸び率も違う

主要職種の全国平均を見ると、普通作業員は23,605円で前年度比3.0%増、とび工は30,780円で4.0%増、鉄筋工は31,267円で4.6%増、型わく工は31,671円で5.0%増でした。

交通誘導警備員Aは18,911円で5.8%増、同Bは16,749円で6.7%増です。全国平均4.5%より高い職種も低い職種もあります。さらに実際の積算では都道府県別単価を使うため、同じ職種でも施工地域により金額が変わります。

自社の原価表を「全職種一律4.5%増」で更新すると、職種構成や地域差を見落とします。使用する職種ごとに新旧表を並べ、協力会社の見積と差が大きい項目は歩掛と現場条件まで確認します。

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どの案件から新単価になるか

2026年3月以降、発注者は新単価を予定価格へ反映します。ただし、公告日、入札書提出期限、契約日、発注機関により取扱いが異なるため、案件ごとの通知と契約条件を確認します。

関東地方整備局の取扱い例では、入札書提出期限が2026年3月1日以降の工事は新単価で予定価格を積算します。期限が2月28日以前でも3月1日時点で未契約だった工事は、契約後に新単価による請負代金変更協議を請求できる場合があります。

2月28日までに契約済みの工事は、この特例による単純変更の対象ではありません。ただし残工期などの条件を満たせば、インフレスライド条項を検討できる場合があります。これは関東地方整備局の例であり、自治体を含む全発注機関へ同じ日付・手続が一律適用されるわけではありません。

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民間工事にも無関係ではない

公共工事設計労務単価の直接の用途は、公共工事の予定価格積算です。民間工事の見積金額へそのまま転用する単価表ではありません。

ただし、改正建設業法に基づく「労務費に関する基準」では、公共・民間を問わず請負契約で確保すべき適正な労務費を考える基礎として、公共工事設計労務単価が使われます。2026年3月単価に対応して労務費基準値も更新されています。

民間見積では、適切な職種の単価に、実際の施工条件と歩掛を組み合わせ、法定福利費や必要経費を別に示します。

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10人日の工事で考える具体例

ある地域の普通作業員を10人日見込む工事を考えます。発注者側の労務費積算は、原則としてその地域の普通作業員単価と標準歩掛を基礎にします。全国平均25,834円をそのまま10倍するわけではありません。

施工会社の見積では、現場条件で必要な人数、夜間・休日作業、法定福利費、安全管理費、交通費、宿舎費、会社経費などを確認します。設計労務単価との差がある場合は、職種の選び方や歩掛、現場条件を説明できるようにします。

旧単価で準備していた案件でも、入札書提出期限が新単価適用後なら予定価格側は新単価になっている可能性があります。反対に、契約済みだから自動的に請負額が増えるわけではなく、契約条項に基づく協議が必要です。

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立場別の影響

  • 経営者・積算責任者地域×職種別単価を原価表へ反映し、協力会社見積と必要経費を確認する。
  • 入札担当公告日だけでなく、入札書提出期限、適用単価、特例通知を確認する。
  • 工事担当未契約・契約済み、残工期、基準日を整理し、変更協議やスライド条項を確認する。
  • 下請・専門工事会社職種別単価、歩掛、法定福利費等を分けた見積で必要経費を説明する。

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今日やること

  1. 施工地域と使用職種ごとの2025年版・2026年版単価を比較する。
  2. 入札中案件を、提出期限前後、未契約、契約済みに分ける。
  3. 発注機関の新単価通知、契約変更特例、スライド条項、請求期限を確認する。
  4. 自社歩掛と協力会社見積を更新し、割増賃金・法定福利費・会社経費を別に積む。
  5. 変更協議に備え、旧積算、新積算、残工期、見積変動の資料を保存する。

単価表を更新するだけでなく、自社の実績人工と見積回答の差も案件ごとに残します。公共積算上の上昇が協力会社の見積や技能者への賃金支払いへどう届いたかを確認できれば、次回入札の原価精度と価格協議の説明力が上がります。

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よくある勘違い

全工事の請負代金が4.5%上がりますか?

上がりません。地域・職種別単価、歩掛、労務費構成、発注時期、契約条件で影響が異なります。

25,834円は全国一律の日給ですか?

全国全職種の加重平均であり、最低賃金でも個別雇用契約を直接決める額でもありません。

法定福利費や会社利益も単価に入っていますか?

入っていません。事業主負担の法定福利費、研修、安全管理、一般管理費等は別に扱います。

契約済み工事も自動変更されますか?

自動ではありません。発注機関、契約日、残工期、契約条項を確認し、所定の協議・請求が必要です。

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ファクトチェックに使用した一次資料

制度の適用は契約、発注機関、工事条件、申請時点で異なります。この記事は公表資料をもとにした一般的な実務整理です。個別案件は所管行政庁、発注機関、労働基準監督署、制度事務局または専門家へ確認してください。