
国土交通省は2026年度、小規模土工向けにICT活用工事(導入型)を新設しました。3次元ICT建機を使う全面活用だけでなく、2次元MG建機や測量・出来形管理から始めるコースを選べます。
Quick Summary
この記事の要点
- 対象小規模な河川・海岸・道路土工。対象工種は原則、発注者指定型
- 3コース全面活用、2次元MGのステップアップ、ICT建機なしのファーストステップ
- 積算2次元MGは1,820円/供用日加算。出来形管理・データ納品の外注費は別途計上なし
施工DX
導入型ICT活用工事とは
ICT施工は、測量、設計データ作成、建機施工、出来形管理、納品にデジタル技術を使う施工方式です。
全面的なICT施工は生産性向上が期待できる一方、小規模工事では3次元設計データ作成やICT建機の調達費が工事規模に対して重くなる場合があります。初めて取り組む地域建設会社には、最初から全工程を導入することが参入障壁にもなっていました。
導入型は、現場規模や会社の習熟度に合わせ、利用する技術を三段階から選べる枠組みです。「ICT建機を買う制度」ではなく、直轄工事の施工・積算要領です。
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全面活用・ステップアップ・ファーストステップ
| 型 | 測量・設計 | 建機施工 | 出来形・納品 |
|---|---|---|---|
| 全面活用型 | 3次元起工測量、3次元設計データ | 3次元MCまたはMG建機 | 3次元出来形管理、3次元データ納品 |
| ステップアップ型 | 単点計測、3次元設計データ作成なし | 2次元MG建機 | 出来形管理、3次元データ納品 |
| ファーストステップ型 | 単点計測、3次元設計データ作成なし | ICT建機を使用しない | TS・モバイル端末等で管理、3次元データ納品 |
MCはマシンコントロールで、設計データとの差に基づき作業装置を自動制御します。MGはマシンガイダンスで、作業装置の位置や仕上がりとの差を画面等で示し、オペレーターの操作を支援します。
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対象工事と対象外
対象となる工事種別は、原則として一般土木、アスファルト舗装、セメント・コンクリート舗装、法面処理、維持修繕等です。対象工種は河川・海岸土工、道路土工の掘削、盛土、路体・路床盛土、法面整形などです。
対象工種は原則として発注者指定型で発注されます。入札公告、入札説明書、特記仕様書に導入型ICT活用工事であることや、利用する施工段階が記載されます。
土木工事施工管理基準の出来形管理基準・規格値を適用しない工事は対象外です。ICT技術の利用が困難、または利用しても作業性向上が見込めない場合は、現場条件を踏まえて実施可否を判断します。小規模土工がすべて一律にICT化されるわけではありません。
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2026年4月以降の入札図書を確認
導入型ICT活用工事の実施・積算要領は2026年度から適用されます。国土交通省の積算基準改定資料では、原則として2026年4月1日以降に入札書提出締切日が設定されるものから適用されます。
補助金のような全国一律の申請期限はありません。施工会社は案件ごとの公告、特記仕様書、発注者との協議で対象工種と型を確認します。
国土交通省直轄工事の要領であり、地方自治体の工事へ自動的に同じ条件が適用されるわけではありません。自治体工事は各発注者の要領を確認します。
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ICT建機の損料加算
3次元MC・MG建機の損料加算額は、対象バックホウで5,470円/供用日です。各種機器、地上基準局・管理局の賃貸費用を含みます。
2次元MG建機の損料加算額は1,820円/供用日です。賃貸業者による取扱説明、機械貸出し、設定等に必要な費用を含むものとして整理されています。
これは要領上の積算加算額であり、実際のレンタル会社からの請求額と必ず一致するとは限りません。供用日数、回送、初期設定、オペレーター教育など、自社負担となる費用を見積段階で確認します。
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計上されるデータ費用・されない外注費
3次元起工測量と3次元設計データ作成が必要な場合は、共通仮設費の技術管理費へ計上します。受注者は発注者の依頼に基づいて見積書を提出し、発注者が妥当性を確認した上で設計変更の対象とします。
受注者から見積書の提出がなければ、起工測量・設計データ作成費は計上されません。前工事や設計段階の3次元データ、発注者から貸与されたデータを使う場合も、作成費用は計上されません。
一方、3次元出来形管理、3次元データ納品、それらの外注経費は別途計上しないと明記されています。モバイル端末や地上写真測量を使う簡易管理も同様です。ICT費用を一括して「全額設計変更」と考えないことが重要です。
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小規模道路土工で考える3通り
地域建設会社が小規模な道路改良工事で掘削と法面整形を行う仮想例を考えます。
- 全面活用3次元起工測量と設計データを作り、3次元MGバックホウで施工し、出来形を計測して納品する。複雑な法面などで効果を検討する。
- ステップアップTS等で単点計測し、2次元MGへ仕上がり高さや勾配を設定する。3次元モデルを作らず、丁張りや補助作業の削減を狙う。
- ファーストステップ従来建機で施工し、測量・出来形管理にTSやモバイル端末を使う。建機を借りずに始められるが、データ担当者は必要。
初回案件では、最新機器の導入そのものより、施工時間、補助作業人数、手戻り、データ整理時間を記録し、次の段階へ進む判断材料を作ります。
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立場別の確認事項
- 経営者購入、レンタル、後付け装置、測量から始める選択肢と社内人材を比較する。
- 現場代理人使用機器、計測範囲、データ形式、測量会社・レンタル会社との分担を施工計画へ反映する。
- オペレーター2次元MGでも基準面設定を誤れば施工誤差になるため、始業前確認と設定変更を記録する。
- 積算担当者建機加算、測量・設計データ費、出来形管理・納品の自社負担を分ける。
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導入後は従来管理との二重作業を減らす
ICT施工を追加しても、紙の測量記録、従来の丁張り、別形式の写真台帳をすべて残せば、現場負担が増えるだけになります。発注図書で必要な管理方法と納品形式を確認し、不要な二重作業を社内慣行として残さないことが重要です。
初回現場では、設定変更、測位状態、出来形データの確認者、エラー時の復旧手順を記録します。技術を使った事実だけでなく、補助作業人数、施工時間、手戻りがどう変わったかを次回案件へ引き継ぎます。
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今日やること
- 2026年4月以降の直轄案件から「導入型ICT」の記載を探す。
- 自社工事を全面活用・ステップアップ・ファーストステップへ仮分類する。
- 2次元MG・3次元MGのレンタル可否、供用日数、設定費を確認する。
- TS、RTK-GNSS、モバイル端末を扱える社員・協力会社を整理する。
- 3次元測量・設計データ作成の見積様式を準備する。
- 出来形管理・データ納品の外注費を自社負担として試算する。
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よくある勘違い
小規模土工はすべてICT施工が義務ですか?
すべてではありません。対象工種は原則発注者指定型ですが、現場条件等により実施可否を判断します。
ファーストステップならデータ作成は不要ですか?
3次元設計データとICT建機は不要ですが、単点測量、出来形管理、3次元データ納品は必要です。
ICTの外注費はすべて設計変更されますか?
されません。起工測量・設計データ作成は見積により対象となり得ますが、出来形管理・納品の外注費は別途計上されません。
ICTを使えば工事成績が必ず上がりますか?
一律の加点は保証されません。指定工事で要領どおり施工・管理・納品することが前提です。
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ファクトチェックに使用した一次資料
- 国土交通省ICT活用工事の要領一覧
- 国土交通省ICT活用工事(導入型)実施要領(PDF)
- 国土交通省ICT活用工事(導入型)積算要領(PDF)
- 国土交通省2026年度積算基準等の改定
制度の適用は契約、発注機関、工事条件、申請時点で異なります。この記事は公表資料をもとにした一般的な実務整理です。個別案件は所管行政庁、発注機関、労働基準監督署、制度事務局または専門家へ確認してください。